酒の力で分かる事


新人を交えて酒を飲みに行った。歓迎会とかそういう堅苦しいモノではなくて、ごくごく内輪で意見交換会的な感じだ。3人いた新人のウチで、二人はガンガン飲めるが一人は下戸だ。無理矢理飲ますような事はしない。場の雰囲気でノッてくれれば良いんだが。


いざ飲み始めると、まぁ新人二人もそれなりに酒が進み饒舌に。色々と聞き出したい事を根掘り葉掘り探っていく。三人とも総じて草食系的な、あまりガツガツと攻め込んでくる無礼講的な感じはなく、どこか堅苦しくてこちらが逆に息が詰まるような空気を醸し出してくれていた。それを決定づけるのが下戸の男だ。ただでさえ喋らない上に酒の力を借りる事も出来ない。こちらが気を遣って話しかけてもかすかに響く、風鈴の音のように.....


これをコミュ力の欠如と一括りにしてもいい物か、と自問自答した。シラフで言葉のキャッチボールをしても響かなかったのだが、酒の席に於いては余計にその傾向が強くなってしまった。逆にこっちが萎縮してしまうぐらいだ。しかしそんな彼には彼女がいるという。この寡黙な彼にどんな伴侶がいるというのだ。一度お目に掛かりたいものだ(性的な意味はない)そんな彼の萎縮具合を見るにつけ、だんだんと酒がまずくなってくる気がしたので、彼のサポートは一切やめて、自分のペースで飲み続ける事に方針転換した。


するとどうだろう。他のメンバーも含めてだいぶ酒が回ってきた段階から、徐々に寡黙な彼から話しかけてくるようになったではないか。これはどういうことだ、ひょっとして我々の方が知らず知らずのうちに彼に対して壁を作っていていたという事ではないか?酔っ払いの精神が崩壊して行くにつれて、彼の目には我々が「話しかけやすい存在」と映っていったという事なのだろうか。





酒の力は奥深い.....